今日も歌があるから

Tiamat / T'apo Eagh / ScreenShots : http://www.flickr.com/photos/100497787@N06/

イメルアの大冒険vol.1に行ってきました

代官山「晴れたら空に豆まいて」で行われたIMERUATのライブに行ってきた。これまでのライブとは違う、とても楽しいライブになっていたので記しておきたい。

 「イメルアの大冒険 vol.1」と銘打った今作は、全編演劇仕立てで進められた。最初に浜渦さんと佐々木"コジロー"貴之さんが席に座り一曲。カフェ店員に扮するMinaさんがもう一人の演者と出てきてお喋りをしながら進んでいく。過去に下北沢のライブでも最初に似たようなことをやったので、1曲目のつなぎとしての寸劇かと思ったらなんだかセリフが長いし手が込んでる。あれ、今日は何を見に来たんだっけ。IMERUATのライブを長く見てきているひとほど混乱していたと思う。
 
 5分ほどの芝居を経て1曲目が始まる。なるほど、今日はこういうライブなんだ。芝居の合間のBGMとして流れるIMERUATの楽曲たち。最初は面食らったけど、新しい試みにグイグイと引き込まれていった。芝居とはいいつつもアドリブっぽいやりとりや、ちょっと気分の変わるBGMを、ということでFF13の閃光の出だしを弾こうとしたら「ゲーム会社にお金払わないといけないからダメダメ!」なんてセリフがあったり、、セリフの端々にちょっとした皮肉も交えたIMERUATらしさが盛り込まれていた。演奏メインである佐々木"コジロー"貴之さんも途中でお客さんという設定でカフェに来店し、今日のライブについて語るメタい演出もあったりして、芝居でありながらライブでもある不思議な空間は1時間ほどで一旦休憩。15分の休憩をはさんで第2部が始まった。
 
 第2部1曲目は再び浜渦さんと佐々木さんが着席してからの、Giant。このGiantがとても素晴らしかった。今回はIMERUATのストリングスでおなじみの結城さんや伊藤さんがいなかったので、残念だなあと思っていたのだけど、情熱的で思わずリズムをとってしまいたくなる素敵なギターのメロディは、新しいIMERUATの側面を見せてくれた。2部も前半と変わらず演劇を挟みながらの構成になっていて新曲や「暗殺したい」「里山デパートメントストア」を挟みながらお話が進んでいく。共に働くカフェ店員の「こんな曲・・・IMERUATにはないよね?」という問いかけからの「あるよ」という流れはドラマ「HERO」を思い出し、ニヤニヤしてしまう。新曲も演奏されていて、ウルトラスーパーブレイクタイム(?)や、ダンス含めてニコニコしてしまう「焼きそばパン」など、今までIMERUATで聞いたことが無いテイストの楽曲が沢山お披露目された。
 
 最後の最後にはMinaさんと浜渦さんの反省会のようなやりとりから「Black Ocean」を演奏してイメルアの大冒険vol.1は幕を閉じた。

 最初はあっけにとられてしまったけれど、今回のライブは一番演者と観客の距離が近いライブだったように思う。IMERUATのライブはガラス細工のように繊細で緻密な作品を見ているようで、これまでは息をひそめて見守るように見ていた。きっと舞台に立つ側の人たちは突き刺さるような真剣な眼差しを受けてライブをこなしてきたのだと思う。けれど、昨日のライブは初めて土のような肌触りがあった。本番中に観客が声を出して笑い、歌を口ずさみながらにこやかな顔で演奏を眺めているのはたぶん、初めてのことだと思う。それくらい普段のIMERUATのライブと違った。楽しすぎたので最後に出口でお二人に今日のGiantが凄く素晴らしかったと伝えさせてもらった。
 
 ライブの終わりに、ライブの追加の告知があった。イメルアの大冒険vol.2は結城貴弘さん、vol.3は伊藤彩さんを迎えてそれぞれ6月、8月に行われるという。次は何を見せてくれるんだろう。また芝居かもしれないし、そうじゃないかもしれない。こんなにも次のライブをワクワクしながら待つなんて久しぶりだ。きっとまた、一風変わったIMERUATを見せてくれると信じて、次のライブを楽しみに待ちたい。
 
 おしまい