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Tiamat / T'apo Eagh / ScreenShots : http://www.flickr.com/photos/100497787@N06/

インフィニティウォーを原作と合わせて読もう!

インフィニティウォー エンドゲーム、見てきました。
MCU(Marvel Cinematic Universe)はこれまで特に興味がなくて見てこなかったのですが、見た人たちの感想がすごくよかったのでちょっくら頑張って見てみるかーと見始めたのが3週間前。1日1作品くらいのペースで見続けてなんとか公開中に見終わりました。

 私はインフィニティガントレット(以下ガントレット)とインフィニティの原作を持っているので、大きく違ったところをいくつかピックアップしながら、インフィニティウォーを原作と照らし合わせて見ていこうと思います。

たくさんのネタバレを含みますのでご注意くださいね。

インフィニティウォーのシナリオとユニバースという考え方

 インフィニティウォーのシナリオはガントレットとインフィニティ合わせ、再構築した物語でした。物語のきっかけ、メンバー、結末はガントレット、インフィニティどちらとも違いますが、大筋では2作品の流れを組んでいました。

 そもそもアメコミは多次元宇宙論という設定を採用しており、無数の並行世界があることになっています。世界の数だけスーパーヒーローも存在し、様々な未来を選択し、物語がある、ということになります。また、MARVELコミックでは過去の改変を行うと新しい未来が生まれることになっています。作中ではエンシェント・ワンがハルクに説明してくれるシーンがありましたね。

 ただ、作中ではインフィニティストーンを元に戻せば世界は分岐しない、というセリフがあったので、多少、設定に変更が加えられているようです。

 今後続くであろうX-MENや他のヒーローが出現、共闘しやすいようにしたのかもしれませんね。

大きく違うサノスの動機

 インフィニティウォーと原作で大きく違う点の一つに、サノスが宇宙の半分の命を消した動機があります。名シーン、フィンガースナップで命を消し去るシーンはガントレットに収録されていますが、その動機はサノスが愛する死の女神「デス」を振り向かせるためでした。
 要するに惚れた女のためにあの手この手を尽くした末に、かつてデスが望んでいた世界の均衡をとる、増えすぎた命を削る、というのが原作の動機でした。必死にデスにアプローチするも完全にシカトされるサノスが面白いシーンです。

 ちなみに、インフィニティのほうは多元宇宙が衝突し消滅する「インカージョン」と次元をまたいで宇宙を侵略する「ビルダーズ」による危機を回避すべく宇宙へ旅立ったアベンジャーズ。その裏で生き別れた息子を殺すためにサノスが暗躍する、という設定です。部下のブラックオーダーたちはこちらに出てきます。

 映画ではサノスなりの哲学を介してインフィニティストーンの奪い合いが行われますが、このあたりのサノスのセリフはサノスの生い立ちを描いた『サノスライジング』を元にして書かれていると思われます。

サノス・ライジング (ShoPro Books)

サノス・ライジング (ShoPro Books)

サノスの幼少期から生い立ちを描いた作品。
これを読むとサノスにも様々な考えがあったことがわかります。

参戦キャラクターの違い

 インフィニティウォーにはたくさんのヒーローが世界を救うために立ち上がりますが、原作ではもっともっと沢山のキャラが登場します。X-MENからはウルヴァリンサイクロップスも登場、ネイモアやDr.ドゥーム、さらには宇宙の神やギャラクタスまで登場する盛大なお祭り展開になっています。あまり膨らませすぎても視聴者は混乱してしまうでしょうから、アベンジャーズに絞ったのは英断だと思いますが、サノスが宇宙の神々をなぎ倒すシーンは見たかったなあ、と思いました。

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ギャラクタスさん

本当はもっと強いぞブラックオーダー!

 映画の方ではパッとしないし出てくる意味あったの?くらい蹴散らされるサノスの部下ブラックオーダー、原作ではちゃんと強かったんですよ!特にコーバス・グレイブとプロキシマ・ミッドナイトは最後の最後までサノスと共闘し、ヒーローを苦しめるかっこいいヴィランだったのですが、映画ではかませ犬になってしまって残念でした。悪役サイドもじっくり描いてしまうと時間がかかりそうなので仕方ないのかもしれませんが、ヒーローたちの連携プレイだけでなく、ヴィラン側の連携プレイも見てみたかったです。

ネビュラの存在

サノスの娘であり、ガモーラと比較されて育ったネビュラは、原作だっと生きる屍として無理やり生かされており、もっと悲惨な存在になっています。劇場版でも身体改造を繰り返されて拷問としてギリギリまで分解されたりとなかなか気の毒でした。そんなネビュラはガントレットでは物語を大きく変える非常に重要な役割を担っていました。劇場版でもサノスに歴史改変を気づかせるきっかけになったりとキーパーソンになった彼女は、今後も活躍するのか気になるところです。

結末の違い

 劇場版の序盤で農夫として生きるサノスですが、これはガントレットのエピローグにあたります。命の半分を削りとったサノスは地球や宇宙のヒーロー、神を相手に圧倒的な力で立ち向かいますが、紆余曲折を経て破れます。インフィニティガントレットを失い、銀河の果てへ飛ばされ、万能の力を持っても負けたことで何かを悟り、農夫として慎ましく暮らします。てっきり劇場版もこの終わり方をすると思っていたので、このシーンを物語の序盤に持ってきたのは大胆な設定でした。しかしながら、このやりとりが後の過去改変や最終決戦に繋がっていくなど、非常な重要なシーンであったのが印象的でした。
 ちなみにインフィニティの結末は殺すはずであった息子、セインがブラックオーダーの一人、エボニー・マウの手引きで能力に目覚め、サノスと周囲の時間を箱のようなもので固めます。(能力が明記されていない)そしてエボニー・マウとともに宇宙へ旅立ちます。サノスはアベンジャーズたちの管理のもと、厳重に封印されますが、あるキャラに「脅威はまだ去ってはいない」と、新たな侵略者の存在を告げて締めくくられます。また、サノスとの戦いでワカンダは滅び、ティチャラはワカンダから追放され、インヒューマンズのブラックボルトは瀕死の重傷を負うなど、多くの代償を支払うことになりました。

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左がインフィニティガントレット、右がINFINITYの結末

次はどのユニバースになるか

 今回のシリーズはアイアンマンに始まり、アイアンマンで終わる、アイアンマンが主人公の物語でした。個人的にトニースタークはあんまり好きなキャラではないのですが、原作の設定を上手く使い、誰しもがアツい何かを感じ取れる素晴らしいシリーズだったと思います。
 気になる次のシリーズですが、今回あまり描かれることがなかったX-MENに主軸が置かれるといいなあ、と思っています。来月公開予定のスパイダーマンでは多元宇宙の存在を匂わせる別次元の話が出てきたりしているので、ダークフェニックスで一度リセットし、X-MENの新しい物語が描かれると嬉しいです。X-MENが関わる大きな物語としては『エイジオブアポカリプス』、『オンスロート』、『ハウスオブM』などがあります。最近では『アベンジャーズ vs X-MEN』という大型クロスオーバーもあったのですが、これはヒーロー総出演の物語なので、ちょっと望み薄です。
 個人的にはオンスロートに思い入れがあるので、やってほしいなあ、と思っています。

終わりに

 後追いで見始めたMCUですが、とても楽しい時間を過ごすことができました。しっかりと劇場に足を運んで物語を紡いでいった人たちはもっともっと感動しただろうと思います。スパイダーマンから始まる新しい物語は私もできる限り追いかけていきたいと思っています。
 そしてまた、いつの日か20年後か、30年後か、新しい解釈で生まれたアベンジャーズと「アベンジャーズ・アッセンブル」が聞ける日を楽しみにしています。久しぶりに3000文字を超えてしまったのでこのあたりでおしまいです。

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おしまい


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