今日も歌があるから

Tiamat / T'apo Eagh / ScreenShots : http://www.flickr.com/photos/100497787@N06/

「響け!ユーフォニアム」の13話を見ました

「響け!ユーフォニアム」の13話を見終わりました。
楽しくてアツい3か月が終わってしまい、とても残念です。

そんなユーフォニアム最終話の感想を書かずにはいられなくなったので書きました。
BS視聴組は明日まで我慢してください。


 最終話はこれまでの集大成として、コンクールの様子が描かれました。1話で素人が聴いても分かるズレたテンポと抜け落ちた音が鳴り響いた演奏からすると、13話の曲は見違えるように素晴らしい音楽でした。最後の結果が見えるまで固唾をのんで見守り、画面の向こう側の皆と一緒に喜ぶことができて幸せな30分でした。
 
 今回、お話はコンクール当日の朝から終わりまでを描いています。私は中学生の時に演劇部に所属していて、みんなで会場に移動するときのふわっとした気持ちや楽屋や舞台袖で待っているときの緊張感はよく似ていて、見なきゃいいのに客席見て更に緊張したよなあ、なんて思い出したりしました。
 出発前のお守りのシーンを見ていて思い出したのですが、私がいた演劇部も発表の際は「舞台に出れる人」と「舞台に出れない人」がいます。私の部は女性8割男性2割という構成でしたので、男性は必ず舞台に出れましたが、女性陣は役を勝ち取らなければならず(大抵は先輩が優先でしたが)、裏方に回らざるを得ない女子もいました。そんなとき、女子は舞台に出る人へ激励の手紙を渡したりしていていて、女子はなんでこんなことするんだろうなーと思っていましたが、モチベーションを保つための役割だったのかな、と思いました。勿論、応援したいという強い気持ちがあった人もいたでしょうが。
 会場について他校の人たちと目を合わせ、客席から楽屋へ移動して本番に臨む前の空白の時間はとてもいやな時間です。すぐ出番だし、もう練習するような時間もないし、つうか音合ってるかな、譜面間違ってないかな、もっかい確認しよう、なんてこと2億回くらい繰り返す時間です。私は趣味でヴァイオリンを習っていますが、発表会の前のチューニングは何度やっても合ってないような気がして不安になりますし、譜面も何度も何度も見返して少しでも緊張を取り除こうと足掻きます。今更何かしたところで何も変わらないのは分かってるのですが、何かしてないと落ち着かない、それなのに腹くくるとテンションが上がってくる不思議な時間ですね。

 作中では本番前に滝先生が声をかけてくれますが、この先生はほんとズルい先生です。無意識の内に最高の一言を部員に与えてくれます。

 滝「おや、最初の頃に戻ってしまいましたか?」

 そんなわけない。この数か月間、彼らが気持ちを入れ替えてどれだけ必死に練習してきたか、一緒に見てきた私たちは知っています。部の熱量についていけなくなったあおいや、未熟ながらも部を纏めようと必死な晴香、圧倒的な力量の差に挑戦した香織、泣き崩れた吉川を覚えています。そんな日々を思い出したのか、一瞬の間をおいて引き締まる部員の顔と力強い返事は、とても頼もしく見えました。発表前に久美子が秀一と拳を合わせたところも、発表会という特別なタイミングだからこそできたんだろうなあと思います。でもな、秀一に久美子はまだやらんからな。もうちょい女子の気持ちを理解してから出直してきなさい!
 
 さて、前の学校の演奏が終わり、いよいよ北宇治高校の出番です。袖から出て着席。舞台に立つと上から下から照明が当たっていて客席の方は良く見えないので、それが逆に必要以上に緊張しなくて有り難かったりします。あすか先輩と言葉を交わす中で自然と久美子から出てくる「これで終わりじゃないですよ。だって全国に行くんだから。」のセリフは痺れました。殆どやる気がないように見えた久美子がこれまでの数か月間で吹奏楽にのめり込み、12話では悔しさのあまり涙まで流してしまいました。吹奏楽がかけがえのないものになったからこそ言える本気を見ることが出来ました。
 
 そして演奏が始まる前の少しだけの静寂。息がつまりそうになる瞬間、指揮者が腕を上げたときの服がすれる音、周りの息を吸う音、そして、始まる演奏。演奏しているときはいろんな考えが駆け抜けます。「あ、ここ最初全然できなかったな」とか「ここは好きなフレーズ」とか。普段はそんなこと絶対できないのに集中力が極限まで研ぎ澄まされるからなのか「演奏しながら考えがめぐる」という面白い感覚になります。演奏シーンはとても素晴らしかったです。特に空気中に舞うほこりの描写。照明に反射してきらきらするんですよね。金管だと楽器にも反射してもっと綺麗なのでしょうか。演奏の合間には、舞台に立てなかった葉月や奈月が映ります。自分が立っていたらどんな演奏ができたんだろうか、うまくやれたのか、いろんなことを考えながらも、応援しているであろうこのシーン、12話で久美子が演奏できなかった箇所を吹き切ったときに思わず顔を見合わせて涙を浮かべながら肩を寄せ合うところは、涙腺が緩みました。いや本当は滝先生のあたりから泣いてたけど。ともかく、この二人には次こそは舞台に出て、人前で演奏する楽しさを体験してほしいです。
 
 演奏が終わって他校の発表も終わり、結果発表のシーン。1話と同じシーン。髪型も1話と一緒で隣には麗奈がいて、結果を待つこのシーン。あの時と違うのは、他でもない彼女自身の成長。それが結果となって現れました。結果は見事金!それだけでも素晴らしいものですが、ダメ金じゃあ意味が無いわけです。全国に行けるのか、行けないのか、どっちなの!さあ、早く!ウワー!最優秀賞!関西コンクール出場だ!!!!!やったー!!!松本先生めっちゃ泣いてるやんけ!かわいい!やったー!!!!
 
 はい、というわけで本当に素晴らしい最終話でした。社会に出てしばらく経った今だから言えることですが、部活というのはとても貴重な経験だよなあ、と思います。考え方や気持ちがばらばらで思春期真っ只中の男女が集まって一つの目標に突っ走るというのは社会に出てからは中々ありません。当時は部活とかかったるいもんやってらんねーよそれより時代は金だー!ということでアルバイトに明け暮れていたので、部活モノの作品を見ると少しだけ羨ましくなります。アルバイトはアルバイトで楽しかったし貴重な経験ですけども。原作ではどうやら更にこの先のお話もあるということで、ブルーレイ全巻買いますので是非とも続きの製作をお願いいたします。ほんとこの通り、なんでもしますから!
 
 余談ですが、ユーフォニアムはWebラジオをやっていて、メインの4人(久美子、麗奈、葉月、緑輝)が毎週やいのやいのしているわけですが、緑輝役の豊田萌絵さんは過去に吹奏楽部でトランペットをやっていたそうで、実体験の話が聞けたり、久美子役の黒沢ともよさんはギターが弾けるので音楽に対する気持ちを語ったり、11話のオーディションの回は香織の演奏を洗足学園の生徒、麗奈の演奏をプロの方が吹いた、というような裏話が時折聴けるので面白いです。でも基本的にはやいのやいのしています。
 
 皆様も何かチャンスがあったら見てみてください。
 おしまい。