今日も歌があるから

Tiamat / T'apo Eagh / ScreenShots : http://www.flickr.com/photos/100497787@N06/

拝啓 オルシュファン・グレイストーン殿

※この記事は暁月のフィナーレのネタバレを多分に含みます


拝啓 オルシュファン・グレイストーン殿

暁月のフィナーレをクリアして数日、最近はコンテンツの合間に2.0や蒼天、暁月のイベントを見返すことが多くなりました。

私がオルシュファンというキャラクターを知ったのは降神祭で、それまでのやや重苦しい世界観をブッ飛ばすセリフ回しや肉体言語への語り掛け、モーション(イイ・・・!)に、一発で好きになりました。
今までのFF14にはいなかった新しい役回りに、クエストで会うのが毎回楽しみでした。

それ以上に貴方に惚れ込んでしまったのは、アルフィノと私が謀略によってエオルゼアを追われ行き場をなくしていたとき、いつもの調子で暖かい床(意味深)と居場所を提供してくれ、心温まる言葉を投げかけてくれた時でした。

「お前もまた、大切な友なのだから」
「あなたには、まだ仲間がいるではないか。とびきりイイ仲間が!」

雪の家でのやり取りを見返すたびに、目頭が熱くなります。

蒼天での貴方との旅はとても楽しいものでした。
グレイストーンという姓の由来や出自も知ることになり想像以上に厳しい環境で育ったこと、そのために辺境の地で過ごしていることを初めて知った時は驚きました。
にも拘わらずそのイイ!キャラクターになったのはアルトアレールやエマネランのような、あなたに引けを取らないキャラクターを持った兄弟にフランセル、アイメリクのような素晴らしい友人との出会いであったことは想像に難くありません。
特にエマネランはあの立派な父君から生まれたとは思えないとんでもないバカですが、貴方にどこか似たものを持っている気がします。
アイツ、剣術習ってるんですよ。バカでイイやつです。

そんな貴方が凶刃に倒れたのは突然のことでした。
久しぶりにゲームのキャラクターの死に涙が止まらず呆然としてしまったのをよく覚えています。
貴方は最後の時まで私のことを気にかけてくれましたが、とても笑顔になんてなれませんでした。

蒼天3.0に決着をつけても心は晴れず、エドモン様の涙につられまた泣いてしまい、中々気持ちを持ち直せない日々が続きました。
3.3でニーズヘッグとの決着をつける際、貴方が助けてくれた時に声にならない声と涙が止まりませんでした。ゲームしててここまで泣いたのは大神のラストバトル以来です。
ただ、この決戦で気持ちに一区切りがついた気がします。

その後に窓から逃げ出したチワワエスティニアンの軌跡を辿る際にも貴方の墓標に立ち寄ることがありました。
いつまでもイシュガルドを見守っていてください。

紅蓮、漆黒と話が進むと段々と貴方の話題は少なくなっていき、旅の中で新しい出会いも別れもありました。悲しいこともありましたが、どちらかといえば楽しく、よい冒険が続いたと思います。

そんな中で、面白い出会いがありました。
相手はガレマルドの皇位継承権第一位、ゼノス・イェー・ガルバスです。
最初に相対したときは成すすべもなく敗北しました。
圧倒的な力の前に屈するしかなく物語の終わりを覚悟しましたが、勝敗を決したことでゼノスはこちらに急激に興味を失い、羽虫のように扱われました。
あまりにもムカついたので、その後に59IDでボコボコにしました。なんなら記念撮影もしました。
むこうもキレていきなり座禅して浮き出したので、ゼニヤッタかと思いましたが所詮サポキャラ、刀を折ってやりました。
それでも相手は諦めずに立ち向かってきました。
蛮神、神竜を降ろしてかかってきたんです。
開幕タイダルウェイブで古の記憶を呼び覚ます鬼畜ギミックの数々に苦戦しましたが、辛くも勝利を収めました。
その後は自嘲気味に言葉を吐いたあと、自害しました。
が、帝国の科学力で戻ってきました。
魂を新しい身体に移すことで暗躍し、着々と牙を研いでいたようです。
世間ではその執心ぶりにストーカーなんて言われていましたが、私はプレイヤーに似ていると思うんです。
何度潰されても諦めない不屈の精神、世界ではなく自分のために動く行動力、様々なひとを巻き込む影響力。
その手法や結果は決して褒められたものではありません。彼の行動の中で命を落としたひとも沢山います。けれど、彼のやっていることは私たちプレイヤーの行動と似ているところもあり、プレイヤーと表裏一体の存在なのではないかとうようになりました。

私たちの選択の中でも命を落としてしまったひと、相対することになったひとが沢山います。
自分にとって正しいと思ったことを選択してきたのですから、そこに悔いはありませんが、私も立場が違えば彼のような行動に至っていたのかもしれないな、と暁月をプレイしていて思ったのです。

それともうひとつ。
ゼノスはしつこいんですよ。5回?6回?何度も立ちはだかります。大体返り討ちにしてやりましたけど、段々飽きてきました。勝手にパッケージ絵にも収まってるし。お前暁じゃねーだろうがよ。
けれどイベントを見返してきて、この「飽きてきた」という感情は紅蓮のときのゼノスがプレイヤーに感じた気持ちと同じなんじゃないかって思ったんです。
最初は苦戦したけれどこちらも練度が上がってきて歯牙にもかけなくなってしまったゼノスくん。
いい加減面倒くさいなこいつという思い。おれがゼノス、ゼノス・イェー・メッチャホリデイだ!
そう考えると、ものすごい残酷な物語じゃあないのかい、と開発陣を問い詰めたくなりました。
どうなのよ石川さん!織田さん!吉田さん!

そんな薄暗い気持ちを携えながらも暁月のフィナーレの最後の最後で、こいつ助けにきました。姿かたちも変えて。ここは正直痺れましたわ。
ここまでなっても私たちと戦いたいんだ、殴り合いたいんだと。
だから、ここでの選択肢が残酷な2択だったことが寂しかったです。
私はさ、面倒だったけど愉しかったよ、冒険者だからね。
ここでプレイヤーの選択であの表情になったのが嬉しかった。

死力を尽くして殴り合い、雌雄を決したあとのゼノスの独白はとても悲しいものでしたが、私は勝った。勝ったからサヨナラをしました。
星海に還り、生まれ変わることがあったら、もう一回ブン殴りあいたいものです。

彼と私の違いはそう大したものではないでしょう。
ゴールが違っただけのこと、出会い方が違っただけのこと、そして貴方というイイ!友の教えがあったこと。
13機関みたいな格好した人に「あなたの旅はいいものでしたか?」なんて聞かれたんですけど、そんなん答えは一つですよ。


イイ!


拝啓、オルシュファン・グレイストーン殿
どうか、はるか星海の彼方から見守っていてください。
決戦の前にアルトアレールとエマネランが貴方に祈りを捧げてくれたことを、忘れません。
89IDで貴方が最後にもう一度だけ戻ってきてくれたときのことを絶対に忘れません。

それでは、また。