今日も歌があるから

Tiamat / T'apo Eagh / ScreenShots : http://www.flickr.com/photos/100497787@N06/

Melodies of Crystal:オニオン弦楽合奏団「第三回演奏会」を見てきました。

11月29日に小松川さくらホールで開催された「オニオン弦楽合奏団 第三回演奏会」を見てきました。前回は道に迷って遅れたのですが、今回は余裕を持って行動。真ん中右寄りの席に座っていました。

 今回は「ファイナルファンタジー6」がテーマで、さらに14人の主人公たちにスポットを当てた演奏となっておりました。Melodies of Crystalさんのプログラムは一つのタイトルに絞って掘り下げていくスタイルで、演奏を聴きながら作品への気持ちを改めて整理することができるのでとても楽しいです。霊峰コルツや魔列車など、普段は中々聞けない選曲に思わずにやにやしてしまいます。今回は弦楽合奏ということでピアノと弦のみの構成でした。

 事前に配布されたプログラムの後ろには主催の大澤さんのコメントが載っていました。「今回は主人公たちに焦点をあてた演奏なので『妖星乱舞』と『蘇る森』やりません(要約)」というようなことが書いておりまして、その理由がずらずらっと書かれておりました。たしかに2曲とも素晴らしい曲ですし『蘇る森』は音楽流れてくるとセリフも流れてくるくらい好きですが、この曲やると演奏会が終わってしまうので納得納得。『妖星乱舞』についてもケフカはある意味この作品の裏の主人公ではありますが、演奏会の趣旨とは少し違いますから、演奏しないというコメントになるほどなあ、と思いながら読んでいました。

 セットリストなんかは省くとして、演奏はゲーム内オープニングの吹雪のシーンから始まりました。客席からため息も漏れます。フラジオレット(多分)でここまで寒そうな音が出せるんだ!ウワー街角の子供たち!運命のコイン!魔列車!むちゃくちゃ聞くのが辛い(ゲーム思い出して)シャドウ!そして素晴らしい流れでの仲間を求めて!というもうほんとお腹いっぱいです有難うございましたお願いだからCD出してくださいって感じの演奏でした。
 
 聞けてうれしかった曲と楽しかった曲を上げると、まずは「街角の子供達」。FFの街の音楽って結構好きで、それだけ寄せ集めたプレイリストとか作っちゃってるのですが、FF1と6と10と12がとりわけ好きなもので、聞けたのは大変うれしかったです。次に「運命のコイン」と「霊峰コルツ」で、むちゃくちゃ格好良かったです。霊峰コルツの弦楽が聞けるとかたぶん今後無いと思うので頑張って脳に溜め込みました。「運命のコイン」については、FF6の中でエドガーとマッシュが大好きなもので、コイン投げるイベントとかエンディングのシーンとか思い出しながらじんわりとしていました。

 後半からは「ロックのテーマ」と「セリスのテーマ」。作中でも恋愛要素としてメインに出てくることの多い二人を素敵にアレンジしていたと思います。最初ロックとセリスのテーマが普通に流れるのですが、途中で2曲を重ねたうえにメロディが交互になるという、言葉で全然説明できてないけど思わず溜息が出ちゃうような素敵アレンジが繰り広げられたのでした。続いて「ガウのテーマ」。途中で原曲と同じ演奏が入って、楽器でちゃんと演奏するとこんなにも暖かい曲になるのかと、ガウらしい笑顔になれる曲なのかと、改めて思いました。あとは「シャドウのテーマ」から繋がるストラゴスとリルムのテーマ。シャドウは辛い過去を背負って生きるために家族を捨てた孤独なキャラですが、その内面が伝わってくるような暗くてキッツい編曲でした。そんなシャドウとは相反するような柔らかくて優しい「リルムのテーマ」と、どことなく影を感じさせる「ストラゴスのテーマ」はこの家族の感情とか境遇とかを完璧に表現されていたと思います。シャドウはほんと重かった。
 
 そして最後はやっぱり「仲間を求めて」です。それまでの一人一人のテーマを繋げての「セッツァーのテーマ」にもガツンとやられましたが「墓標銘」から一瞬のタメのあとの「仲間を求めて」が物凄いパワーでぶつかってきて大興奮でした。そうだよなあ、ゲームでも魔大陸落ちたあとって物凄い不安で、しかもあんま育ててないセリス使うんかいとか思いながら不安でいっぱいになりながらフィールドに出たんだよなあ、とか当時を振り返りつつ聞き惚れていました。そしてプレリュードに繋がって終わるのでした。
 
 FF6はプレイ当時小学生だったのであまり複雑な考察をせずにティナかわいい!リルムかわいいけど使えない!魔法はつええ!とか言いながらほぼ頭空っぽで遊んでいましたが、大人になると自分の経験と照らし合わせてシナリオを思い出してしまってすぐに泣きそうになります。物凄く大仰な言い方をすればFF6は人生讃歌かなあと思います。様々な境遇や立場の14人のキャラクターたちが人生の一部を共有して旅をするという、果ては世界を救うというというのは王道な物語ですが、ゲームというエンターテイメントを通じて感動することができたのは幸運だったと思います。だってもう発売から20年経ってるのに新しい形でもう一度当時を思い出させてくれる素晴らしいひとたちがいるんだもの。つうか発売から20年ですか。つらい。まだ実家に残ってるよVジャンプ特別号とトレカ。
 
 今回の演奏会で印象的だったのは、演奏してる皆さんもむちゃくちゃ楽しそうに演奏していたところ。体はグイグイ動いてたし、自然と笑みがこぼれてたし、と、聞いてる私たちも幸せでしたが、演奏してるひとたちはもっと幸せだろうなあ羨ましいぜこんちくしょう、と思いました。
 
 前回のサガフロ2も大変すばらしかったですが、今回も楽しい演奏を聴くことができたのでした。
 
 そうそう、アンコールは「大団円」を合間に挟んで「戦闘」「死闘」「決戦」を立て続けに演奏してくれました。みんなむっちゃ笑顔なのずるい。
 
 おしまい

持ってるアニメサントラからお勧めしたい16曲について書きました

今日は一日ゲーム音楽三昧!
先日放送されておりましたね。
何やら原曲が少なくてちょっぴり残念という意見もあったようですが、ゲームは許諾とるのが大変だというお話もちらほらお聞きします。そういえばゲーム音楽のオーケストラコンサートで有名なPRESS STARTでも過去に「演奏は良いけど映像はダメ」という理由で、野菜の写真が延々流れ続けたことがありましたね。


それじゃあ次はもうこれしかない!
アニメ音楽三昧!
ドラマやゲーム、映画と同じくアニメでも物語を盛り上げるために欠かせないのが音楽。キャッチーなOP、EDの影に隠れがちですがアニメ音楽も沢山素敵な音楽があるのです。そんなわけで私がアニメを見始めてから少しずつ買い集めたサントラたちの中からいくつかお勧めの曲、作品を紹介していきたいと思います。

この空と大地の出会う場所 / 魔法使いに大切なこと:羽毛田丈史(2003)

魔法遣いに大切なこと オリジナル・サウンドトラック

魔法遣いに大切なこと オリジナル・サウンドトラック

 私が初めて買ったアニメサントラがこの作品です。当時学生だった私が夜中にテレビを付けていて適当にチャンネルを回していた時に耳に飛び込んできたのが「この空の大地と海の出会う場所」でした。ピアノの軽やかな音と軽快に跳ねるストリングスに一発で惚れ込んでそのまま作品も好きになってしまい、アニメもコミックも小説も買いそろえたのでした。
 一部サンバのような曲も入っておりますが、全体を通してピアノとストリングスを中心とした優しい曲が多く、毎年夏になると思い出したようにかけるのがこの1枚です。

○ / 輪廻のラグランジェ 1期:鈴木さえ子、TOMISIRO (2012)

輪廻のラグランジェ オリジナルサウンドトラック

輪廻のラグランジェ オリジナルサウンドトラック

 「まるっ」でおなじみの輪廻のラグランジェからは「まる」です。実際には読み方が書いてないので「オー」かもしれないし「ゼロ」かもしれないですけども、作品的に「まる」でしょう、たぶん。
 こちらの曲は主人公のまどかたちが操るウォクスが出撃するシーン、戦闘するシーンによく流れていた曲です。序盤は1曲目に収録されている「kamogawa in major」のフレーズが流れ、転調と共に心を掻き立てるような曲へと変わっていきます。輪廻のラグランジェは千葉県鴨川市を舞台にしていて、日常生活も垣間見ることができます。ラグランジェのサントラは日常と任務との違いがはっきりと分かれているのですが、この曲は日常から戦闘へ変わっていく気持ちの変化を表した曲なのではないかと思います。ランニングでスパートをかけるときによく聞いてます。

おはよう境界線 / 境界線上のホライゾン 1期:加藤達也(2011)

TVアニメ 境界線上のホライゾン オリジナルサウンドトラック

TVアニメ 境界線上のホライゾン オリジナルサウンドトラック

 境界線上のホライゾン1期からは「おはよう境界線」をご紹介。境界線上のホライゾンは名曲ぞろいで悩みましたが、お話の中でも一番好きなシーンなのでこの曲にしました。
 トーリがホライゾンとの対話を終えて現実世界に戻ってくる最高に格好いいシーンで流れるのがこの曲で、その前に流れている「後悔の届く道上へと」の哀しげな旋律も手伝って、分厚い雲が真っ二つに切られたようにスカッとした曲です。
 ホライゾンはその他にも「加速の屋根上」とか「燃焼回廊」とか「風がただ先を行く」とかむっちゃ良い曲あってどれも紹介したいけどああ残念。

幸いが咲ける場所 / 境界のホライゾン 2期:加藤達也(2012)

TVアニメ 境界線上のホライゾン オリジナルサウンドトラック Vol.2

TVアニメ 境界線上のホライゾン オリジナルサウンドトラック Vol.2

 続きまして2期からは「幸いが咲ける場所」です。2期も後半の疾走感と畳み掛ける展開はわくわくしかなく、王道的展開で素晴らしかったです。
 最後の最後にエリザベスが花畑で語らうシーンで流れるこの曲。激動のアルマダ海戦を締めくくるに相応しい優しいピアノの曲です。2期も「save you from anything」とか「焦熱領域」とか良い曲は盛りだくさんなので、ぜひ聞いていただきたい1枚です。

Eternal Friendship / Free! :加藤達也(2013)

TVアニメ Free!オリジナルサウンドトラック Ever Blue Sounds

TVアニメ Free!オリジナルサウンドトラック Ever Blue Sounds

 もうひとつ加藤達也さんの手がけた作品、Free!から1曲。ホライゾンと違って、現代が舞台の作品のためか、曲のタイトルからシーンを思い出しやすいのがこのサントラです。Eternal Friendshipは作中で何度か流れますが、タイトル通り友情を感じさせる良い曲です。

辿り着いた場所 / 夏目友人帳 3、4期:吉森信(2011)

夏目友人帳 参・肆 音楽集 ひねもすきらりきらり

夏目友人帳 参・肆 音楽集 ひねもすきらりきらり

 妖怪と夏目の不思議なお話である夏目友人帳からは「辿り着いた場所」を選びました。アルバムを通して聴いていただくと分かるのですが、この曲の前にはおどろおどろしい曲が何曲か続いて流れます。そのあとに流れるこの曲の安心感といったら。やっと重苦しい空気から解放された清々しさがあります。夏目のサントラはうたたねしたいときに流すとたちまち寝てしまいます。

思い出は遠くの日々 / 秒速5センチメートル :天門(2007)

 映画作品からもひとつ。新海誠監督の作品はどれも好きなのですが、見た時期や年齢が重なって思い入れが強いのは秒速5センチメートルでした。こちらのサントラは限定版DVDの特典です。聞いているとグッと切なくなる秒速5センチメートルの曲ですが、どこかキラキラと輝いて見えるのも魅力の一つです。冬になると良く聞くサントラです。

Volupte du soir / ソ・ラ・ノ・ヲ・ト大島ミチル(2010)

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト オリジナル・サウンドトラック

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト オリジナル・サウンドトラック

 私は大好きなんですけどもアニメの内容ではなんだか色々な言われ方をしてしまったソラノヲト。テレビドラマや映画だけでなくゲーム、アニメなど幅広い作品を手掛けている大島ミチルさんの音楽でした。私としては大島ミチルさんといえばICOを思い出します。やわらかくて優しいメロディはこの作品でも健在ですが、普段のオーケストラを基とした曲調とは少し異なり、ギターやトランペットの曲が多く収録されています。登場人物たちのにぎやかさとは裏腹に一度荒廃した世界が舞台のこの作品に、ギターの寂しいメロディはしっとりと響きました。

ネッサのワルツ / フラクタル鹿野草平(2011)

フラクタル オリジナル・サウンドトラック

フラクタル オリジナル・サウンドトラック

 当時、色々と話題になったフラクタルからも1曲。同じ時期にまどかマギカが放送されていたので話題を持ってかれてしまいましたが、お話は結構好きでした。エピローグが特に好きです。フラクタルといえばネッサ。ネッサ、ネッサが出てる時の曲は全部好きよ。ネッサのワルツは自由奔放なネッサのキャラがよく表れている楽しい曲です。もう一人のヒロイン、フリュネと対照的に描かれるネッサは、作中でも視聴者をニコニコさせてくれる貴重なキャラの一人であったなあと思います。サントラの最後に収録されている「サリーガーデン」も素晴らしい曲です。

銀河美少年たち / STAR DRIVER 輝きのタクト神前暁、MONACA(2013)

STAR DRIVER 輝きのタクト Songs & Soundtracks

STAR DRIVER 輝きのタクト Songs & Soundtracks

 続いて日5(日曜5時)からは俺たちのヒーロー、スタードライバー!放送中も毎週毎週楽しみにしていたのをよく覚えています。この曲は地上波では流れません。銀河美少年「たち」ですからね。とにもかくにもこの曲からもらうパワーが凄い。テンション上げたいときやランニング中のラストスパートのときに流して、何度奮い立たせてもらったことか。「僕には見えている・・・!」なんて心の中で叫んだりして。2期やってくれないかなあと楽しみに待っている作品です。

本当のきもち / 放浪息子 :神前暁、岡部啓一(2011)

放浪息子 オリジナルサウンドトラック

放浪息子 オリジナルサウンドトラック

 大好きな志村貴子さんの作品『放浪息子』からも1曲ご紹介。「女の子になりたい男の子」と「男の子になりたい女の子」の二人と、彼らを取り巻く友達や環境を描いたこの作品。ジェンダーの視点から見るととても変わった設定にも関わらずお話は淡々と進んでいくのですが、そこに寄り添うように流れる曲たちは、とても素敵でした。最初から最後までゆったりとした気持ちで聞けるサントラです。
 

Teki Paki / ゆゆ式 :sakai asuka(2013)

TVアニメ「ゆゆ式」オリジナルサウンドトラック 「Feeling good (nice) wind」(ジャケットイラスト:まじろ)

TVアニメ「ゆゆ式」オリジナルサウンドトラック 「Feeling good (nice) wind」(ジャケットイラスト:まじろ)

 数多の視聴者を円環の理に留めつづけているゆゆ式からはTeki Pakiです。ほぼ毎回終わり際に流れるピアノの曲、と言えばお判りでしょうか。一部で処刑用BGMとも言われていた気がします。メインキャラクターの一人、ゆいちゃんのテーマとして収録されているこの曲は、3曲目に収録されているのですが、1曲目の「SE-NO! OP Arrange」、2曲目の「Skipping」と合わせて1曲なんじゃないか、と思うくらい曲の流れに違和感がありません。何故だか春になると聞きたくなって、よく流しています。
 

優しい海、優しい町の人々 / たまゆら中島ノブユキ(2011)

 写真が好きな女子高生、ぽってと友達が中心となって描かれる「たまゆら」からはこの曲を選びました。タイトル通りやさしさに溢れたこの曲は、たまゆらという作品の象徴でもあると思います。個人的には2期の11話がまだ録画残しているくらい大好きで、年の瀬にサントラと合わせて見ることが多いです。
 

きらめくプリズムスタァ / プリティーリズムレインボーライブ :長岡成貢(2014)

プリティーリズム・レインボーライブ プリズム☆ミュージックコレクションDX

プリティーリズム・レインボーライブ プリズム☆ミュージックコレクションDX

 プリティーリズムからは、もちろんこの曲。「プリティーリズムの世界へようこそ!」とも悩みましたが、やっぱりこの曲かなあと思いました。プリティーリズムという作品は子供向け作品の中にも大人に向けたような要素が挟み込まれていて、笑ったり、しんみりしたりできる良い作品でした。ひたすら元気なこの曲、やっぱりランニングの後半に流して頑張ってます。
 

海だったり、空だったり / TARITARI :浜口史郎(2012)

TVアニメ TARI TARI ミュージックアルバム~歌ったり、奏でたり~

TVアニメ TARI TARI ミュージックアルバム~歌ったり、奏でたり~

 一昨年の自分のなかでの話題を全部持っていったTARITARIからはこの曲。ちょっと他には考えられないくらいこの曲が好きです。最終話で流れるこの曲は、それまでの鬱屈した空気を全部吹き飛ばしてくれるパワーを持った曲です。浜口史郎さんの曲はそのほとんどが作品のテイストを含んだものになっています。TARITARIだと、すべての曲が「~たり、~たり」で構成されてい「たり」、今回はあげておりませんがガールズパンツァーのサントラは西住殿のセリフのようなタイトルになっています。浜口史郎さんの曲は高い部分のメロディが独特なのでほかの作品でもすぐに気が付きます。10月からはSHIROBAKOの音楽も手掛けられるようで、今から楽しみです。

木漏れ日を駆け下りて / 青い花 :羽毛田丈史(2009)

SWEET / 青い花 オリジナルサウンドトラック

SWEET / 青い花 オリジナルサウンドトラック

最後に紹介するのは、一番大好きなこの曲。青い花のなかでも色々なところで使われますが、印象的なのは1話での登校シーンでしょうか。当時テレビでぼんやり見ていてこの曲を一発で好きになってしまい、後に音楽が羽毛田さんであることを知って二度喜びました。それまで知らなかった『青い花』と志村貴子先生にどっぷりハマらせてくれたのもこのアニメ音楽のおかげなのでした。


というわけで、自分が持っているアニメサントラの中から16曲ほど紹介してみました。他にもアポロンとかクロワーゼとか、オススメしたいサントラは多数あるのですが、とっても長くなってしまいそうなので今回は見送りました。また機会があれば他のサントラについても書こうと思います。

『たまこラブストーリー』を観てきました

先週公開された「たまこラブストーリー」を観てきました。
ネタバレなしの感想です。

 季節は春、高校3年生に進級したたたまこは相変わらずおもちのことばかり考えていましたが、進路のことなど、将来のことを少しずつ意識し始めたみどりやかんなたち。ふわふわしたままのたまことは対照的に、もち蔵はある決意を固めます。昨年のアニメ本編ではたまこが大好きなもち蔵がビビって何もできず、加えてたまこはおもちのことばかり考えていて能天気で、全くと言っていいほど何も進展がありませんでした。そんなもち蔵とたまこに起きた物語を描いたのが今回の劇場版でした。

 高校3年生という1年間は、人生にとって1つの転機です。これまでなんとなく周りに合わせて通っていた高校生活が終わり、進学するのか就職するのか、どんな学校にどんな仕事に、専門学校なのかはたまた大学か、少しずつ自分の道を作っていく、その最初の一歩は高校3年生なんじゃないかな、と思います。作品の中でも主要なキャラたちがいろいろな思いを胸に将来を考えます。でも、どの子も将来について確たる自信があるわけではなく、どこかとらえどころのない不安定な未来の話に花を咲かせます。私は色々悩んで話した末に大学に進学しましたが、当時はまだよくわからなくて、とりあえず右行くか左行くかだけ決めたのを覚えています。夢もあったけれど、結局今はその夢とは違うことをしていたりします。そんな中、もち蔵は決意を固めます。どんな決意かは本編をご確認いただきたいのですが、これまであんまりフォーカスの当たらなかったもち蔵が将来とたまこのことを、どう考えているのかを垣間見ることができました。
 
 また、タイトルにもあるとおり、恋についてもエピソードがあります。もちろん、たまこともち蔵の仲について。これまでたまこのド天然ともち蔵のドチキンが合わさり最強のやきもき恋模様が描かれていましたが、ようやく話が進みました。もち蔵とたまこ両方の視点と感情が交互に描かれるようになっていて、男性も女性もそれぞれの立場に自分を重ねて見れたのではないでしょうか。『好きな子のこと考えてるときってこんなだったよなあ』なんていう懐かしさや、もち蔵の背中を両手で押してやりたい気持ちが混ぜこぜになってしまい、ボロボロ泣きながらもち蔵を応援していました。二人の恋模様がどうなるのかは、ぜひ劇場で見てあげてください。
 
 今回の劇場版の話をするうえで書きたかったことがもう二つ。一つは大人たちのやさしさです。たまこともち蔵が暮らすうさぎ山商店街には個性的な大人が沢山住んでいます。作中でも端々に出てくるのですが、進路や恋でぐらぐら揺れる二人を変わらないやりとりで支えてくれています。彼らはきっと細かい話を知らないでしょうし、知っていても顔に出していないのでしょうが、変わらない商店街の存在がとても心強くてあたたかくて、安心させてくれるのでした。そんな中で、たまこともち蔵の家族たちは「何となく察して」いるのですが、直接触れることはなくそっと優しく、少し荒々しく、肩を貸してくれる姿がえがかれます。これはもう少し大人になってから分かることでしょうが自分にも似た経験があって、その時のことを思い出してやっぱり泣いてしまいました。豆大父ちゃん、かっこよかったです。
 
 それで最後にあとひとつ。あとひとつはね、みどりちゃんがかわいい!11!!!!たまこの幼馴染のみどりちゃんがかわいい!すごい!かわいい!とても!かわいい!Kawaii
 以前からもち蔵がたまこに近づくのがなんとなく気に食わなかったみどりちゃんは、アニメでも何度かもち蔵に意地悪をしてしまいます。それはもち蔵が嫌いというよりは、たまこが取られることが嫌だという嫉妬に近い感情だと思いますが、そんな子供っぽい感情を否定しつつもついやってしまう自己嫌悪に陥るみどりちゃんがどうしょうもなくかわいい。まんがタイムきらら発だったらもち蔵よりみどりちゃん応援してた。そんなみどりちゃんは作品の中で何度かキーパーソンになります。かんなちゃんも史織ちゃんもそれぞれかわいかったのですが、冷静に振る舞ってるようでいて冷静さを欠いてしまったり、ついもち蔵に意地悪をしてしまったり、他のキャラより一際人間味にあふれるみどりちゃんがダントツかわいかったのでした。

 吸い込んだ空気が少し冷たくて鼻の奥をツンとさせるような、春風まとう青春ラブストーリー。今の季節にふさわしい素晴らしい作品なのでした。今週、気持ちを整理させて改めてもう一度見てこようと思います。

シュデンゲン室内管弦楽団の「サガフロンティア2楽曲演奏会」に行ってきました

 4月12日に小松さくらホールで開催されたシュデンゲン室内管弦楽団による「サガフロンティア2」の演奏会を観てきました。さくらホールのある東大島という駅は初めて降りたのですが、見事なまでのベッドタウンで、マンション以外なんもない町でした。学校のクラスとかすっごい多そう。川があって、車の通りもあんま多くないので途中の公園で寝てしまおうかというほどの静けさ。でも通勤大変そう。

 さて、駅から10分ほど歩いたところにあるさくらホール。おそらく300人くらいしか入れないであろう小さなホールで、どこに座っても演奏者との距離が近くてよいところでした。私は11列目の席で、ちょうど真ん中くらいでした。
 
 大好きなサガフロ2の演目で、演奏された曲もオープニングから始まりエンディングで終わる流れで、ファンとしては非常に楽しい構成でした。いつか聞けたらいいなあと思っていたRosenkranzもありまして、大変贅沢なひと時を味わえました。サントラで聞いたあの曲がそのままグレードアップされた形で演奏されておりまして、見に来た人は全員そうかと思いますが、同作品が好きなひとはきっと最上の幸せだったと思います。いやあほんと素晴らしい演奏に構成で、Nachtigallのくだりでは泣いてしまうくらい素晴らしい演奏でした。あとコントラバスの二人がめちゃんこかっこよかった。
 
 プログラムの裏に主催であり指揮者の大澤久さんからの一言がありまして、これが私が常々思ってることと少し似ているなあと思いました。ゲーム音楽というジャンルは非常にニッチなジャンルで、CDを買ってまで楽しむというひとはごくごくわずかな人だと思います。じゃあサントラCDを買ったひとというのはなんで買うのかという話になりますが、物語が良かったひと曲が良かったひとととがいるんじゃないかな、と思っています。前者は曲から物語を引き出すひとで、後者は純粋に曲が好きなひとです。サガフロ2に関しては私は「曲が良くて買ったひと」になります。
 私、サガフロ2のシナリオってあんまりしっかりと覚えていない。大筋の話はできますけど、ウィルがどうやってリッチを生んだかとか、リッチとコーデリアがどうやって知り合ったとか、プルミエールって誰の娘だったっけ、とか、ぼんやりとしか覚えていなくて。その変わり水彩画タッチの世界観と音楽にベタ惚れでした。なので、なんか本当はファンというほどでもないのかなという違和感を持っていました。サガフロ2の曲たちは物語を引っ張り出して展開するタイプではなくて、意識することなく流れている曲づくりをしたんじゃないかなあと素人目で思っています。で、そのようなことをプログラムの裏に書かれていたので、似た考えを持っているひともいるんだなあと、一人嬉しかったのでした。
 
 おおよそ3時間近い演奏会でしたが、自分が今まで聞いた演奏の中で一番よい演奏会でした。FF25周年コンサートと拮抗しちゃうくらいよかった。お願いだからスタジオで録音してCD出してくださいお願いします。帰り道でいろいろ思い出しながら、Rosenkranzがバイオリンで弾けることが分かったのでもっと練習しようと思いました。

劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising- を見てきました。

『劇場版タイガー&バニー - Rising - 』を見てきました。
といっても2週間くらい前に。

 TVアニメで爆発的な人気を博して今もなお衰えを見せないタイガー&バニーの劇場版ということで、お客さんも結構入っていてにぎわっていました。やっぱり女性のお客さんが多かったですね。私はタイガー&バニーは前半戦が好きで、後半戦は完璧にダレてつまらなかったなあという印象だったのでやや不安を抱きつつに足を運びました。
 TVアニメから1年半?くらい経過しているので冒頭に「これまでのタイガー&バニー」みたいな、5分程度のダイジェストがありました。これ見ててもやっぱり後半のマーヴェリックおじさんのくだりはつまんねえなあと再確認。全体的にアメコミテイストが強い作品なのでヒーローとヴィランのそれぞれの葛藤があるのは大いに結構なのですが、つまんないとこまでなぞっちゃったのは残念で、そこが不満点でした。劇場版もそうならないことを祈りつつ見たのですが、不安を払拭してくれた素晴らしい作品でした。
 
 舞台はTVアニメの世界から数か月程度経過したシュテルンビルドで、変わらずヒーロー活動を続ける面々。いぼいぼおじさんのバックアップがなくなったために資本の移動なんかもあって、それぞれが以前とは少しずつ変わっていて、内面的な悩みや葛藤が描かれていました。作品のキャッチコピーが「己の正義 己の守るべきもの」ということで、色々な場面でそれぞれの正義が問われるシーンがあります。ヒーローが自分の掲げる正義の正しさに疑問を感じたり、ヒーローであるための気負いを描くのはアメコミのお家芸ですけれども、この作品ではそういうことあんまやらないだろうなあって思ってたので意外でした。しかも結構がっつり描いてくれて、異様におっさん臭いお話でした。私は大喜びです。
 今作では新ヒーローとしてゴールデンライアンが登場します。事前の映像や振る舞いからは嫌味な奴という印象で、こいつがなんかやらかすんだろうなーと思ってあんまり活躍を期待していなかったのですが、これがまたかっこよかった。輝く黄金の鉄の塊!ニヒルな笑顔とキザなセリフに裏打ちされた実力!態度はデカいけどめっちゃ強い!なんかレミーっぽい!斜に構えて見てたけど、後半はライアンめっちゃ応援してた。フィギュア出てほしい。アニメに出てきたヒーローたちは総出演しているのでダークヒーロー的立ち位置のルナティックも登場します。相変わらず若干影の薄いルナティックさんですけども、ルナティックの掲げる正義は断罪ですので、甘っちょろい虎徹おじさんの正義と対照的に映し出すのは効果的な演出だったと思います。もっと活躍してほしいなあ、ルナティックさん。
 全体としては人間模様8割で構成されていて終盤に怒涛の戦闘シーンがあるのですが、これがまたかっこよかった。バーナビーのためにワイルドタイガーはコミカルに描かれすぎていて演出としてのタイガーはあんまり好きになれなかったのですが、ここぞというときのタイガーはばつ牛ンに、抜群ににかっこよかった。娘の楓ちゃんもかわいくなってたし、父親らしさも見せてくれてよかったです。
 
 TVアニメ版をほとんど知らなくても(覚えていなくても)楽しめるように作られていて、100分くらいの上映時間の中でダレることもなくお話が綺麗にまとまっていた、よい作品でした。TVアニメの冗長な展開はなんだったんだ。もうTVアニメ2期はやらなくていいので毎年新作映画出してほしいくらいです。それなら何度か見に行くためにお金落とすしフィギュアだってBDだって買っちゃうよ。最終的にはオンスロートみたいにめっちゃクロスオーバーしてくれ。
 これからどんな展開になるのかはわかりませんが、とりあえず劇場版のブルーレイの発売が楽しみです。
 

劇場版『アイドルマスター THE MOVIE 輝きの向こう側へ』を見てきました

 記事タイトルはTwitterだとSTERさんになるとが飛ぶのでやむなくカタカナにしました。

 劇場版『IDOLM@STER THE MOVIE 輝きの向こう側へ』を見てきました。月曜日早起きして気になってそのままブルクで予約して朝イチの回へ。こういうときのネット予約は便利。それと、ブルクができてからアニメの劇場版もコンスタントに上映してくれるので助かってます。平日で朝イチの回なのにお客さんの入りはまあまあ。ほどなくして始まりました。

 ここからはネタバレ全開で書くので畳みます。というか、ここからは自己満足のかたまりです!

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HAPPY NEW IMERUATに行ってきました

1月11日に渋谷WWWで行われたIMERUATのライブ「HAPPY NEW IMERUAT」に行ってきました。

 渋谷WWWというライブハウスは初めてで、地図を確認するとパルコの真ん前なのでそんなところにライブハウスあったっけなーと思って行ったらありました。前映画館だったとこかな。入り口から少し地下に降りるタイプのライブハウス。新宿MARZとかを思い出します。降りてくタイプのライブハウスは階段が無骨だったりして、この秘密基地感が結構好きです。
 降りてチケット交換してビールもらったら物販で新曲のミニアルバムが出ていたのでアルバムと卓上カレンダーを購入。売っててよかった。荷物置いてステージへ。階段状になっているライブハウスで、要所に手すりがありました。こういうライブハウスはあんま見たことないなあ。全面フラットより見やすいし、自分のスペース確保できるからよさそう。既に結構なお客さんがいたので私はいちばーん後ろの端で壁にもたれかかって見てました。十分近いし前じゃなくてもよく見えるのはよいことです。

 18時を少し回ったところでライブが開始。イマイチ自信が無いのでセットリストは省くとして、既存の曲から新曲まで、万遍なく演奏してくれました。今回はピアノ、パーカッション、ヴァイオリン、チェロ、ギター、あとトンコリムックリという感じの構成。中でもヴァイオリンとチェロのパワー!ヴァイオリンのA線とE線の使い方すげー好きというか途中からはどうやって弾いてるのかが気になって仕方なかったです。右腕のなー肘から下だけでなー、弾けないんだよなあ。数曲引いてトーク、数曲引いてトーク、という形でしたがトークが相変わらず面白くて。海外ツアーに同行していた桑野さんについて恐らく「身を粉にして」とか「時間を割いて」とか言いたかったんだろうけど「身銭を切ってついてきてくれて・・・」とか言ったりしていて会場を沸かせていました。北海道生まれのひとって何人か知り合いにいるけど、なんというかフリーダムだよね。Minaさんの完全に脈絡のない話を聴いていて、そう思ったのでした。桑野さんについては他に「お酒を飲むとよくしゃべる方で、台湾に行ったとき朝まで、有りがたいお話を、していただいて・・・」って仰ってましたけど『あ、マジ説教されたなこれ』って思いました。
 FF13からスーリヤ湖、クリムゾンエッジ、閃光なども演奏してくれました。きっと皆言っているだろうけど、閃光、やっぱかっこいい!浜渦さんのヴァイオリン使った曲でA線とE線が強い曲ほんと大好き。反物をね、しゅるしゅるっと広げているような小節のまとめ方が心地いいです。閃光みたいに横からガッと入ってくるタイプの曲もパートの終わり際で少しずつ少しずつ音を柔らかく細くしていく過程があって、そこがたまらなく好きです。
 ライブでは曲に合わせてビデオも流れていたのですが、この演出は世界観を共有できるので楽しいですね。arpもライブでPVを合わせて流すことが時折あったけど、IMERUATの曲は歌詞が少ない分、映像でイメージを補完する作業はとても意味があるんじゃないかな、と思います。

 そんなこんなで2時間と少しのライブは瞬く間に終わり、終演後のサイン会に。割と早い、というか10番目くらいに並べました。Minaさんにサインを書いてもらったときに「あ、この前Tシャツ当たった方ですよね?」って言われてちょいとびっくり。浜渦さんも「よう覚えてるなあ」なんて感心されておりました。いやあほんとに。少しだけヘドウィグアンドアングリーインチのお話をして会場を後にしました。出口に向かったら結構な列になってました。早めに並んでおいてよかった。

 帰り道でアルバムについていたブックレットを読みつつ帰るのでした。「財布忘れて切符をもらって~」ってほんとの話だったの・・・東急とかは貸してくれそうですよね・・・