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今日も歌があるから

Tiamat / T'apo Eagh / ScreenShots : http://www.flickr.com/photos/100497787@N06/

シン・ゴジラを見てきました(めっちゃネタバレ込)

シン・ゴジラを見てきた。
IMAXの時間と丁度タイミングが合ったのでIMAXで見れたのだけど、迫力たっぷりでスーツの裾がビリビリくる音量で中々楽しめた。今回のゴジラは昔見たゴジラとは全然違ったので、そのあたりも含めて感想をまとめた。
尚、めっちゃネタバレ込で書くのでご注意下さい。

ゴジラがヒーローじゃなかったこと

子供の頃見たゴジラは、所謂平成ゴジラシリーズで「ゴジラ VS 〇〇」といった、侵略者や謎の怪獣に対してゴジラが日本を守る、といった作品が多かった。(たしかモスラは人間の自然破壊が原因だったので厳密には違うのかもしれない。)
ゴジラは僕らにとってヒーローで、日本を守ってくれる守護神だった。日本を守る過程で多少町がぶっ壊れたり大観覧車引き抜いて投げつけたりするけどまあそこらへんは仕方ないよね、って気持ちで見ていたし、逆に見慣れた風景がボッコボコに壊されていくのを楽しんでたと思う。
けれど、今回のゴジラは急に現れて(しかもグロテスクで怖い!)、ただただ川崎沖から蒲田を北上していつも電車から眺めている街並みを破壊して、帰ってしまった。作中で第1形態と言われてた姿はめちゃくちゃ不気味だし変な液体ばら撒くしで最初こいつが日本を襲うからゴジラが助けにきてくれるのかと思った。
再び現れたときは完全にゴジラの形を成していたけど歯並びはぐっちゃぐちゃで見下すような目、口はぱふぁって開くし、ビーム撃って人がいようがいまいが関係なく焼き尽くす、完全に化け物だった。あとたまに機敏な動きを見せるのがまた気持ち悪い。薩摩剣八郎さんの動きじゃない。怖い。あとで調べたら野村萬斎さんが演じていたということだった。狂言の動きisこわいof most。
これは、自分が成長して大人になったのも要因かな、と思った。社会に出るようになって、街やモノが壊れることのやるせなさ、再び立ち上がることの難しさが分かるようになってきた今の自分が見ると「壊せ!燃やせ!どんどんやってくれー!」って感情が殆ど浮かんでこなかった。どちらかというと「どうすればいいんだ。何か手立てはないのか。」という気持ちが強かった。
そんなゴジラに対して人間の攻撃はほとんど効果が無くて、ほんと絶望しか浮かばなくて僕もずっとこんな感じで見てた。

ゴジラってこんなに怖いバケモノだったんだって、見方が変わった。

日本社会っぽい描写が多かったこと

ゴジラに対しての策を練ったり講じたりしたのは主に日本政府。中でも矢口率いる特殊チームがゴジラの行動を分析をしたり弱点を探したりしていた。これは先月インデペンデンスデイ・リサージェンスを見ていたので余計にそういうところが気になったのかもしれないけれど、印象的だったのが序盤の閣僚たちの会議や談話のくだりで、いちいち発言に修正を加えたり、議事録を気にしたりして面白かった。後半にかけては日本が危機的状況にあるのに法案を立てて判子押してて、どこまでいっても紙で書類作るんだなあって思った。緊急本部の立川でも矢口が書類に判子押し続けてるシーンはシュールだった。
 インデペンデンスデイでは各国首脳がテレビ会議で投票してゴーサインとか、現場判断でエイリアン倒してなんとかしたりしていて個人にフォーカスが当たることが多かったけれど、シンゴジラでの主役は日本政府やそれに連なる「集団で立ち向かう」ように見えた。作中で決定権の多くを総理が持っていたけれど、意見を吸い上げた上でのイエスであり、総理にカリスマ性があってぶん回していたわけではないのが、日本映画らしいというか、日本じゃないとこういう雰囲気の作品は作れないんだろうなあ、と思った。そのかわり濃いキャラがとても多かった。そういう部分にスポットを当てなかったのも、この作品を色んな角度から考察してみたくなる魅力なのだと思う。
 あと、上陸した翌日普通に電車動いて都内が動き出していたの、うわめっちゃ日本、って思った。

東日本大震災や戦争を思い出してしまうこと

これはきっといろんなところで言われていると思うけど、やっぱり東日本大震災や戦争、それに連なって現在まで起きているいろんな事象のことを思い浮かべた。ゴジラが通過した後の瓦礫の山、矢継ぎ早に対応を迫られる政府、避難所生活にデモや放射能の恐怖など、今日までにずっと議論になっていることが出てきて、ああ、こういうことも映画の題材にしていくのか、と感心したのと同時に凄く辛い気持ちになった。特に「連合軍が核攻撃を予定している」という話をしていたとき、それだけは止めてほしいと強く願った。自分にそういう感情が沸くとは思わなかったので少し意外だったけど、小中学校で戦争に対する教育があったから出てきた感情だと思う。
 それと、東日本大震災地震ではなくてゴジラの侵略だったら、この国はもう少し一つに纏まってたのかなあと思った。震災の時はデマや不正確な情報が飛び交っていたのもあって、日本って国のやることが殆ど信用できなかった。当時の政府のやることも「何か裏があるんじゃないか、大切なことを隠してるんじゃないか」と思ってしまうことが多かったし、世の中の言葉に流されるままになっていた。でも、もしかしたらこういう苦渋の決断があったのかもしれない。本当に国民を守るために駆け回ってくれていたのかもしれない。夜通し行われるデモを聞きながら官邸で一心不乱に対応策を練っていたのかもしれない、と考えた。そりゃあまあ、保身だとか利権だとか、悪いこと考えてたひとも当然いただろうけど、日本をどうにか助けなきゃって思って動いてたひとだって絶対いたんだよなあ。

未来を見ることと今を見ること

作中では10年後の日本のために動く人と、目の前にある問題を乗り越えるために動く人が出てくる。対照的なのは赤坂と矢口で、二人とも日本を建てなおすというゴールは一緒だけど、視点の高さが違う。そしてどちらの意見も多分、正しい。「未来のために今はここで諦めるべきだ」と「もっと力を尽くせばこの問題は解決できるんじゃないか」は、ゴジラが襲ってこなくても日常的に自分自身の前に立ちはだかる壁で、その壁の乗り越え方は、人それぞれだ。結果的に今回は矢口のやり方が成功につながったけど、次は失敗するかもしれない。自分だったらどっちを選ぶだろうなあ、って思いながら見てた。こういう究極的な判断を自分ならどうするかって考えるようになったのも、大人になったからかな。

そのほかのこと

それ以外に、映画を見て面白かったことや気づいたことをダダダっと書いていく。

・途中でところどころ映像がチープになるのは演出なのかな
・音楽が少ない。なんかエヴァみたいなのが流れた。
・2回目の上陸の時に地元っつーか昔住んでた自分の家が映った!洋光台!
 あれ俺の家!でもぶっ壊されちゃったかな。
 あとで聞いた話では結構な人数で駅前とかも撮影したみたい。
・伸びたラーメンは結局食べたのかな
・電車爆弾のとき「うおおおおおお俺たちの京浜東北線いけええええ!」って心の中で叫んでた
・マフィア梶田さんの存在感
ピエール瀧が完全にSIREN2の三沢だった。「やるじゃなぁい」って言ってほしかった。
・静岡からミサイルを撃っても多摩川まで届くのか
・武蔵小杉発展したなー。あ、あのあたり友達の家だ。ぶっ壊れた。
市川実日子美人だなあ

最後に

シン・ゴジラは自分の知っているゴジラとは別物だった。怖くて理解不能の化け物で、恐ろしかった。続きがあるとしたら見たくもあるけど、ちょっと怖いからやだなあという気持ちもある。でも、この映画を見て不思議なことに明日も頑張らなきゃな、って思ったので、いい映画だった。帰りはなんとなく、イヤホンをとって音楽を聞かないで京浜東北線に乗って家に帰った。

おしまい